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7・講評

  管理人による各種講評です。
車両設備
  排出ガス規制の強化に伴い各メーカー車排気量の少ない小型のエンジンへとシフトしつつあるが、江ノ電夜行高速バスで使用される車両もそれら分類に入る。ADG-RA273RBN改/PKG-RA274RBN改である同車はTI付9,203ccのMD92TK型エンジンを搭載するが、350psの最高出力を誇り高速走行にも問題は無い。また6速トルコンATで変速時のショックも少なく、乗り心地は良好であった。ただ少々気になるのが高速走行時のシフトダウンである。高速道路には比較的低速で走行する乗用車やトラックも多く、路線バスとはいえ追い越しも多数行う。追い越し時には追い越し車線に出て一気に追い抜いていくわけだが、この時にややアクセルを踏み込むとギアが6速から5速へ、踏み込み具合によっては4速までシフトダウンし途端に車内には高音のエンジン音が響き渡る。直列6気筒9,203ccのエンジンであるということもありそこまでうるさいわけではないが、夜行高速バスという条件下ではより静かな車内環境が望まれるということは言うまでも無い。AT車という特性上なかなか難しい問題ではあると存じるが、例えば「シフトダウンロック機能」のような設定が出来ないものか、メーカー側に問うてみたい所である。
  座席については及第点の仕上がりである。深く倒れるリクライニングシートは睡眠をとるのに十分であるし、また肘掛の角度が調整できるというのもポイントが高かった。
  トイレを最後部ではなく中ほどに設けたというのは正解である。車内前方の席の乗客でも利用しやすいだろう。トイレでやや気になっていたのは扉の扱い方がやや特殊なことで、開業から間もない頃は何の案内も無く手間取る乗客も見られたが、しばらくして扱い方を記したシールが張られるなど改善が図られ良かった。
  3列独立というシート配列には基本的には納得だが、通路幅の狭さという点だけはどうしても印象に残ってしまう。長時間走行をしている間には時々トイレを利用する乗客も見られるが、この際に他の乗客にまったく触れないように移動することはかなり難しい。高速道路走行時は比較的安定した走りではあるがやはりゆれはあるし、通路側に身体を張り出して眠っている乗客もわずかながら見られる。またこれとは別に、二人組での利用というのが割合多く見られた。消灯時刻前後まで話をする乗客もおり、こういった際には二人がけのシートがあると良いと思った。ただし全列2+1のシート配列にしてしまうと汎用性に欠けるため、例えば前寄り3〜4列、あるいは後寄り3〜4列のみ2+1のような機転の利いたシート配列が実現できるとより良いと感じた。ただしこれにはメーカー側の設定する標準仕様という問題もあるため、乗客,事業者,メーカー、三位一体の議論が必要であろう。

運行状況
  京都・大阪線については開業1週間後の2006年3月18日、および開業1年後の2007年3月13日の計2回にわたり乗車をしたが、運行状況については2回とも素晴らしいものがあった。3月という時期が良かったのかもしれないが、2回の乗車時いずれも大幅な遅れなどは無く、ほぼ定刻での発着も多かった。また28名分の座席(座席自体は29だが、6B席は予備席として扱うため28席までしか発券されない。)があるが、2回の乗車時いずれも20名以上が利用する好評振りであった。
  金沢線については2008年6月7日,2008年06月07日に乗車をしたが、7日については満席となるほどの好調振りであった。乗客が多い場合には続行便を出す日も見られる。
  走行状況についても安心できるものがあった。近年の規制緩和により夜間高速バスも競争が激化しており、高速道路走行時は120km/h超と思われる猛スピードで走り抜ける他社のバスも見られたが、江ノ電バスに関しては高速道路もほぼ全区間にわたり80〜90km/hの安定した速度で運行が行われており、非常に安心できた。また途中およそ2時間間隔できちっと乗務員交代が行われており、それぞれの乗務員交代時にも十分な時間をとるなど、時間に余裕のあるダイヤ設定であることが感じ取られた。安全運転こそ最も基本かつ重要な項目であるから、今後も同様の運転を続けてもらいたい。

サービス(京都・大阪線)
  まず運賃・所要時間から見ていきたい。比較する対象はやはり電車が妥当であろう。ここでは藤沢→京都間で比較を行ってみる。
項目\選択肢 0.江ノ電高速バス 1.在来線(藤沢〜新横浜)+
新幹線(新横浜〜京都)
2.在来線(藤沢〜小田原)+
新幹線(小田原〜京都)
3.在来線(藤沢〜小田原)+
急行銀河(小田原〜京都)
4.在来線(藤沢〜京都)
運賃 7,700円 13,970円 12,470円 14,910〜19,110円 7,350円
所要時間 約7時間 約3時間 約3〜4時間 約7.5時間 約8時間
備考     「こだま」or「ひかり」で
所要時間が大きく異なる。
A寝台,B寝台等で
料金が異なる。
乗り継ぎ状況により
所要時間が大きく異なる。
  所要時間という点で見るとやはり新幹線の存在は脅威である。本数も多く夜間の移動にこだわらなければこれが最も利用しやすいだろう。朝一の新幹線に乗車すれば8時台前半には京都駅到着できるため、大変便利である。運賃は江ノ電高速バスに比べ5,000〜6,000円の割高だが、所要時間,利便性を考えると妥当であると判断する方も多いだろう。
  急行銀河の利用は選択肢としてあまり候補に挙がらないだろう。江ノ電高速バスと所要時間がほとんど変わらない上、運賃も約2〜2.5倍となっている。ただし6時台後半の到着というのは良い点である。
  最も安く移動するならば全線在来線の利用ということになるだろう。ただし乗り継ぎ状況によって所要時間が大きく異なる上、青春18きっぷなどを利用しない限り運賃もさほど変わらないためあまり実用的とは言えないだろう。
  こうして見ると、江ノ電高速バスはなかなか良い選択肢として考えることが出来る。運賃,所要時間ともバランスが取れていると見て良いだろう。車酔いをしやすい方々を除けば最適な移動手段といっても過言ではないだろう。
  次に車内の備品についてだが、エチケット袋,スリッパ,毛布ともしっかり用意されており良かった。睡眠時には靴を脱ぐ乗客も多いため、特にスリッパは重宝するだろう。欲を言えばもう少し大きい毛布だとありがたい。
  運行開始時に比べサービスは向上しているが、さらなるサービスを目指し努力が続けられているようである。そのひとつとしてアンケートの実施がある。乗車時にアンケート用紙,ボールペンが配られ、提出は座席前のポケットに入れておくだけで良いので、率直な意見が書きやすいだろう。さらに配られたボールペンは持ち帰ることが出来るためうれしい。なおこのボールペンには「江ノ電夜間高速バス」と緑色の字が入っており、良い記念にもなる。なおアンケートの結果は実際に反映されているようで、以前は乗車してから降車するまで一切外に出ることは出来なかったが、運行開始1年後あたりから藤沢駅発車後最初の乗務員交代時に外に出られるようになった。
  運行開始から日々サービス向上が図られているようで歓心であるが、さらなる快適空間実現のためより一層の努力を期待したい。

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